地域金融機関に対するTNFD開示支援
- TNFD開示支援
- Client
- 金融・保険業
【お客さまが抱えていた課題】(開示に至った背景)
令和5年12月にちゅうぎんFGは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の趣旨への賛同を表明するとともに、TNFDフォーラムへの参画を決定し、東瀬戸内経済圏を中心に自然資本や生物多様性の保全に積極的に取り組むことを明確化しました。
その取り組みの一環として、地方銀行でのTNFD開示が本格化する前の段階から、生物多様性や自然資本に関する情報開示について先行的な検討を開始しました。
しかし、TNFDが推奨する開示では、TCFDと比べ地域固有(岡山県)の自然環境や生態系の特徴を捉えた情報提供、地元ステークホルダーの巻き込みが重要になる一方で、開示方法の標準化が進んでおらず、参考となる国内外の事例も限られていたため、開示内容や手法について具体的な検討が求められる状況にありました。
【当社の支援内容】
1.課題抽出
TNFDでは、地域固有の自然環境や生態系に特化した調査・分析、アクション立案が求められています。しかし、標準的な評価手法や国内外の先行事例は限られているのが実情です。このため、TNFD提言に沿った情報開示を実現するには、次の2点の課題を解決する必要がありました。
- 地域固有の自然環境・生態系について評価する標準的な方法が未整備であり、投融資先と自然資本の関係性をリスク評価へ反映する方法が必要であること。
- 本質的な情報開示に向けて、ちゅうぎんFGとして実行可能な具体的アクションレベルの検討が必要であるが、そのためのノウハウが不足していること。
2.プランニング
自然資本・生物多様性分野に専門的知見・データを持つスタートアップ、および地元の環境保全団体と協業し、抽出された2つの課題に対して具体的な対応策を策定しました。
- 協業したスタートアップが保有する地域特有の自然資本データベースと、グローバル基準として公開されている業種別のリスク評価を組み合わせ、岡山県内の融資先企業と自然資本との詳細な関係性を分析しました。これにより、ちゅうぎんFGとして優先的に対応すべき業種を特定しました。
- 各支店周辺で自然資本の重要エリアを特定した上で、地元の環境保全団体による文献・現地調査を実施し、対象エリア内の自然資本の特徴を抽出した。これを基に具体的な保全活動を検討しました。
3.実行支援
調査・分析を通じて、岡山県特有の地域性を反映した融資先企業のリスク評価、および支店近郊エリアにおける自然資本の特徴抽出と具体的なアクションの明確化を実施。
これらの成果を踏まえ、当社ではTNFDに基づく開示文案作成を支援しました。文案にはリスク評価結果やアクションプランだけでなく、ちゅうぎんFGがすでに取り組んでいる地域住民・企業・研究施設と連携した藻場再生事業を盛り込み、自然資本を活用した地域経済振興への積極的姿勢を訴求できる内容としました。
【支援後の成果】開示後の効果
当社が主導し、生物多様性に専門的な知見・データを持つスタートアップおよび岡山県で活動する環境保全団体と連携し、地域特有の自然資本に関する詳細な調査・分析を実施しました。その結果、岡山県の自然環境・生態系の特性を反映した独自性の高いTNFD開示を実現できました。
ちゅぎんFGではこの開示を通じて地域内で生物多様性に対する理解と関心が高まり、地域資源を活かした新たなビジネス機会の創出に向けた具体的な検討が開始されています。
